賃貸借 第十二条(解約予告) of 契約書式

解約予告


第12条(解約予告)
 乙が本契約を解約する場合は、甲に対しその●ヶ月前迄に書面による通知をしなくてはならない。但し、賃料の●ヶ月分相当額の金員の支払いをもって即日解約することができる。

 賃貸人から賃借人に対し有効な解約を申し入れることはほとんど考えられないので、賃貸人からの解約予告に関して記載しても無意味ですが、仮に解約を申し入れるとした場合の予告期間は、借地借家法第27条の規定により6ヶ月前となります。更新拒絶の場合は同法第26条により1年前から6ヶ月前としなくてはなりません。
 その場合の文書は以下のようになります。
第12条(解約予告)
 本契約を解約する場合は、甲は6ヶ月前までに、乙は●ヶ月前迄に相手方に対して書面による通知をしなくてはならない。但し、乙は、賃料の●ヶ月分相当額の金員の支払いをもって即日解約することができる。

 賃貸人(甲)からの解約通知に関しては借地借家法第26条、同法第27条で定められていますが、賃借人(乙)が解約する場合は、解約権を留保する旨の特約(本条項)がされていなければ、契約期間の途中で解約できないというのが法の原則です。
 賃借人(その多くは消費者)の立場からすると、解約予告規定の入っていない期限の定めのある賃貸借契約をした場合、途中解約できないということになってしまいます。宅建業者を含め案外知られていないようです。

 宅建業法第37条(書面の交付)第1項第7号に交付しなくてはならない書面として「契約の解除に関する定めがあるときは、その内容」を定めていますが、解約権の留保という特約を定めた場合はその内容を書面としなくてはならない、としても、定めていないのですから書面の交付も説明も必要ないということで、大きな問題がするっと抜けてしまいます。
 特約がない(解約できない)契約なのに賃借人から解約通知がされても、解約できないことに宅建業者も気づかず、そして賃貸人も気づかなければ、あまり問題にならないのかもしれないですが、特約がなければ期間内解約はできないのです。
 この問題が敷金返還のように”消費者問題”化したら、借地借家法が改正されるかもしれない問題です。
 全国宅地建物取引業協会(全宅)が標準としている、組合員向けの重要事項説明と賃貸借契約書には「借り主の解除権」として、解除権留保や予告期間について記入しなくてはならないようになっていますから、その宅建業者が記載理由を理解していなくても特約記載を忘れることはないようです。

第617条 (期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 一年
二  建物の賃貸借 三箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 一日
 2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

第618条 (期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。