賃貸借 第十三条(契約解除) of 契約書式

契約の解除


第13条(契約の解除)
 甲は乙が次の掲げる義務に違反した場合において、甲が相当の期間を定め当該義務の履行を催告したにもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されない時は、本契約を解除することができる。
(1)第3条並びに第4条に規定する賃料等支払義務
(2)第5条に規定する諸費用の実費負担義務
 2 甲は乙が次の掲げる義務に違反した場合において、当該義務違反により本契約を継続することが困難であると認められるに至った時は、本契約を解除することができる。
(1)第1条に規定する使用目的遵守義務
(2)第10条に規定する遵守義務
(3)その他本契約書に規定する乙の義務
 3 甲は乙において本物件を使用するにあたり、次のいずれかの事由が生じた場合において、本契約を解除することができる。
(1)乙又はその同居人の行為が、本物件内の共同生活の秩序を著しく乱すものと認められる場合
(2)乙又はその同居人に覚醒剤、売春など警察の介入を生じさせる行為があった場合
(3)乙又はその同居人が、暴力団若しくは極左・極右暴力集団の構成員、又はこれらの支配下にあるものと判明した場合
(4)乙又はその同居人が、暴力団若しくは極左・極右暴力集団の構成員、又はこれらの支配下にあるものを本物件に反復、継続して出入りさせたり、近隣居住者の平穏を害するおそれのある行為があった場合
(5)乙又はその同居人が、本物件を暴力団若しくは極左・極右暴力集団の事務所かアジトとして使用した場合、あるいは、第三者に同様の目的として使用することを許容した場合

 第1項は、賃料等金銭債務の履行が行われない場合の解除条件です。ここでは相当の期間をおいて催促してから解約するとしていますが、3ヶ月程度の期間を事前に定め催促しないで解約という規定も考えられます。
 
 第2項は、賃貸物件の使用方法に関わることを理由に契約解除する場合を列挙しています。賃借人の行為が、賃貸借契約を維持できない関係になって契約解除が認められます。

 第3項は、特に暴力団について記載されています。暴力団員とはじめから分かっていたら建物を貸さなかったという場合が通常ですが、この条項は、平成3年の「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」が交付されたのを機会に、警察の民事介入を進める中で、所轄の警察署より提案された文書です。
 賃貸借契約を締結する際に、「契約解除の項」に入居者が暴力団である場合は契約を解除する旨の特約条項が入っていれば、たとえば契約の使用条件違反であり、刑法の詐欺罪(二項)が成立する場合もあり、また警察も介入しやすいし、明渡訴訟もしやすいということでした。
 暴力団だけではなく左翼の文字も入っていましたが、大半の賃借人希望者にとっては関係ないはずの文言でしたので、当時のものをそのまま使っています。