賃貸借 第十四条(明渡に伴う乙の義務) of 契約書式

明渡に伴う賃借人の義務


第14条(明渡に伴う乙の義務)
 本契約が期間の満了、解約、解除その他の事由により終了したときは、乙は次の各号に従い、本件建物を明渡さなければならない。
(1)乙が甲の承諾を得ないで本件建物の現状を変更した場合には、これを原状に復する。但し、乙がこれを行わないときは甲において行い、その費用は乙の負担とする。
(2)乙は甲に対し、移転料その他如何なる名目をもってするも金銭的請求をすることはできない。
(3)乙は甲に対し、本契約終了後明渡完了に至るまで賃料の2倍相当額の使用損害金を支払う。

 民法第616条に使用貸借規定の準用が定められています。準用する規定は第594条(借主による使用及び収益)第597条(借用物の返還の時期)第598条(借主による収去)「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる」の3条です。
原状に復して・・・収去することができるという表現になっていますが、契約では「・・・しなければならない」と義務としています。
 明渡に際し、賃借人は立退料の請求をできないという規定ですが、当たり前と言えば当たり前なため、契約に際しては賃借人もポカンとした顔をして聞いています。
 第3号は使用損害金の規定です。賃貸借契約が終了しているのにもかかわらず明渡が完了していない場合を想定した条項です。6月末で明け渡すとしている(契約が終了している)のに、その日を過ぎても明け渡さないばあい、7月1日以降は賃貸借契約に基づく占有(法的根拠のある占有)ではないため、賃料ではなく使用損害金とします。賃貸人は賃借人の占有を積極的に認めているわけではないので、使用料については賃料の2倍相当額としていますが、特に定めがあるわけではありません。