売買 第八条(危険負担) of 契約書式

危険負担


 第8条(危険負担)
 本件土地が、前条の引渡完了前に天災地変その他甲の責めに帰すことのできない理由により、滅失または毀損し乙が買い受けの目的を達することができなくなった場合は、次の各号の定めによる。
①滅失の場合は、甲はすでに受領済みの金員の全額を乙に返還し、本契約は解除される。
②毀損の場合は、甲は自己の負担で現況に回復し、乙に引き渡すものとする。ただし、毀損の程度により甲の選択により、契約を解除することができる。
 2 前項の場合、乙は甲に対し損害賠償の請求をすることはできない。


 民法は 「特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する」(534条1項)として、売買契約後の危険負担は債権者(買い主)が負担するとしています。また、買い主の残代金支払義務がなくなるわけでもありません。
 残代金支払まで土地の引渡を受けられず、また所有権移転登記もされていないのですが、売買契約をすることで所有権は買い主に移転するもの解釈されているからです。
 このような状況を考えると民法の規定が現実に即していないともいえるのですが、契約当事者間では本条のような合意をしておかないと、たとえば地震により土地が崩れてしまい宅地として使用できなくなったような場合、上記民法534条が適応されて買い主の負担となってしまいます。

 本条項では危険負担は買い主ではなく全て売り主にあるという規定になっていますが、負担割合は双方の合意ですから、”売り主買い主折半で負担する”と合意することもできます。